こんにちは。歯科医師の大川です。
今回は先日近くの連携病院から紹介された患者さんの話です。
病院より頂いた紹介の手紙を開け、ざっと見た瞬間は周術期の口腔管理かと思いましたが、きちんと読むと手術はもうすでに終えているようでした。
患者さんからの話からも、病院の歯科で手術前に口腔ケアと少し治療を受けたけど、手術の予定までには全く終えられないとのことで、術後に歯科治療を受けるように言われて来院されたとのことでした。
もちろん、歯科治療は問題ないとのことでしたので、口腔内審査、レントゲン診査など行いました。
口腔内を拝見すると
皆さんもお分かりかと思いますが、まともな奥歯がほとんど無い状態でした。
更に話を聞くと「実は30年ぶりに歯医者に来たよ」とのお言葉が・・・
もちろん仕事が忙しくて行けない、時間がなかった、怖いからなど色んな理由があったとは思いますが、何故ここまで・・・
でも、不思議なことに、人はここまで噛む歯が無くても、手術前までは一応食べられていたのです。もちろんいきなりこのような状態になるわけないので、ごまかしたり、徐々に慣れたりして人は食べられてしまうので、お口の順応する力にも改めて驚きました。
さて、話を戻しますが、手術をする前、口腔内の環境がきちんとされているか否かで術後に大きな大きな影響が出るを皆様は知っていらっしゃいますか?
実は周術期の歯科の介入は
①術後の誤嚥性肺炎のリスク軽減
②気管内挿管時の歯牙破折や脱落、VAP(人工呼吸器による肺炎)などリスク軽減
③術後の経口摂取再開の支援→治癒時間に差が出ている
④口腔咽頭、食道手術における術後合併症(呼吸器合併症 SSI)のリスク軽減
の可能性を持っているとのことです。
ですから、もし何か心配事がありましたら、遠慮なくスタッフに聞いてみて下さい。