歯科医師の大川です。
今回は私が治療や嚥下講習の為訪れている、特別養護老人ホームでの話です。
皆さんは誤嚥や誤飲といったことを耳にされることがありますか?
今回は義歯の誤飲の話です。(誤嚥とは食べ物や異物が気管内に入ってしまうことで、誤飲とは食べ物以外の異物を飲み込んでしまうことです。)
1月くらいの話ですが、入所者の方が急な発熱で入院され、その入院先で喉の吸引を行った際に、喉に下の写真の義歯が引っかかっていたというのです。
こんなにも大きなものが…(この方の残存歯は1本のみです。)
この方は2年以上前に入所して、その際持参した上下の義歯を現在も使用中であり、入所後には歯科にかかっていないとのことでした。
つまり、下顎義歯を紛失した為、恐らく入所前に新しく下顎義歯を作製したと思われます。
そう考えると喉に詰まったまま義歯は作製され、2年以上飲食していたことになります。
おそらく下顎義歯がくの字型のおかげで窒息は免れたと思いますが、本当に恐ろしいことです。
義歯を紛失した場合は誤って捨ててしまうことの方が多いと思いますが、意志疎通のしっかりされていない方の場合は、かなり大きなものでも飲み込んだ可能性も視野にいれてみないといけないのではないでしょうか。