歯科医師の大川です。
今年に入り自宅から当院まで、運動をかねて自転車通勤をしていました。梅雨に入り少し減っていましたが、梅雨が明けまた再開でき嬉しい限りです。(ただし、暑さとの戦いですが…)
写真1
写真2
2枚のレントゲン写真を見比べて下さい。
実は同一人物のお口の写真です。
左が約5年前の状態で右が現在です。
良く見ると5年前の写真にはとかろどころに虫歯があります。
写真3
写真にある黒く抜けたところが虫歯です。(青い丸で囲ってあります)
他にもたくさん虫歯になりかけている場所はあったのですが、レントゲン上は分かりにくいです。
その当時、充分な説明を行いましたが、体調不良などのため下顎歯牙の抜去と新義歯作成のみ行い治療を終えました。
口腔内を診察した際、その当時もっと他に何か出来たのではないかと考え、反省と後悔が湧いてきました。
因みにこの方御年83歳、その当時78歳なので、きちんとした治療とケアが行われていたら、日本歯科医師会が目指している80歳で20本以上の歯を残そうという目標は余裕でクリア出来たのではないでしょうか?
そう思うと悔しい限りです。
この原因は何でしょう。
それは前回のブログでも書いた根面齲蝕(こんめんうしょく)による歯牙の崩壊です。
当日も少し触れただけで歯が折れました。
この要因を挙げると
1、極端に唾液の量が少ない。(全身疾患もあり、多くのお薬を服用中。薬の中には唾液の量を減らしてしまう物があります。)
2、プラークコントロールの悪さ。(唾液の量が少なかった為か、非常にプラークが硬くとれにくい)
3、根面の露出(歯周病があり、歯肉の退縮があります。)
4、定期検診の不足(少し遠方なのと、足が悪いため、通院するのが大変で容易に来られない。)
ご本人様は、先生の言う通りになっちゃったとニコニコしてやってきましたが、正直私は愕然としたのとショックで心苦しかったです。
今回のことで根面齲蝕の恐ろしさを改めて認識させられました。
70歳半ば迄多くの歯牙が残っていても、清掃不良(プラークコントロール不足)、体調の変化(唾液の減少・免疫の低下)など、誰にでも起こりえることで数年後には状況を一変させてしまう。そんな可能性が誰にでもあるのではないでしょうか?
もちろんこんな状態まで、極端になる方は多くはいないと思いますが…
だからこそ、こらからも皆さんに口腔ケアと予防の大切さをお伝えしていかなければいけないと思いました。